太陽光発電のドイツの失敗

 
太陽光発電の普及先進国と呼ばれるドイツ。その普及を支えているのは、2012年に日本でも導入された「固定価格買取制度」である。ところが、日本でその制度が導入された同年2012年の6月末に、ドイツでは、この固定価格買取制度の「修正」法案が成立した。要するに、制度の「見直し」を迫られたのである。

 なぜそうなったのか?「固定価格買取制度」とは、個人や法人が太陽光パネルなどの設備を自宅や企業に導入した際、そこで生み出された電力を、国が定めた価格によって電力会社に販売できる制度のこと。この販売で得た資金によって、個人や法人は、太陽光パネルへの初期投資分を回収できる。

 問題は、電力会社が再エネを買い取る際に支払うお金の「出所」である。実は、その「出所」、その電力会社と契約を結んでいる消費者の電気料金となる。つまり、毎月の電力料金に上乗せされている。

 ドイツの制度見直しは、この消費者の電気料金への上乗せが、かつて日本円にして数十円程度だったものが、2012年の段階で千円を超える額にまで至ったということを背景にして起こった。産業界と、消費者団体が、「我慢ならぬ」と怒ったわけだ。このニュースを取り上げ、日本の、とりわけ原発推進派の人々の中には、「ドイツは失敗した。やはり脱原発は不可能」といった見解を出す人もいる。

 もちろん、問題がある制度だ。しかし、この問題は、制度自体というより、その設定された価格にある。太陽光パネルは他の自然エネルギー設備に比して初期投資が高いため、その普及を促そうという意図で、買取価格が高額に設定されていたのだ。そして、一度高く設定されていた価格を、下げたら問題解決かと言うとそうではなく、それで運営をしていた会社が収益を損なうということにもなる。言わば板ばさみ状態である。

 ドイツは、再生可能エネルギーの普及率は、原発を超えるに至っている。その普及背策は実際に効果を挙げているのだ。短期的に見ると、利用者の料金に跳ね返ってくる制度であるが、長期的には利用者の便益となる。そのような「理念」によって支えられている制度ゆえ、ドイツでは、固定価格買取制度への批判はあれど、「脱原発」路線を撤回しようというバックラッシュは現在のところ、起こっていない。

 理念と、現実。しかし、試行錯誤に乗り出さなければ、現実は変えられない。


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